さて、皆様は「ボクシングとサウナ」と聞くと、どのようなイメージをもたれるでしょうか?
ボクサーがサウナを利用するおもな目的は、試合前の計量にパスするためです。
いわゆる「水抜き」という方法で減量していきます。
しかし!!
サウナを上手に活用することで、減量に限らずパフォーマンスの向上や、運動後のリカバリーにもつながるんです。
疲労回復や体調管理は、健康を維持するために不可欠な要素です。
サウナがスポーツパフォーマンスを高める!
今回のコラムではサウナがもたらす効能の一つである「スポーツパフォーマンスの向上」についてお伝えしていきます。
有酸素運動後、サウナに入ることで得られる効果についても紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
なおこちらのコラムは、BOXING CLUB内田一喜トレーナーに監修していただきました。
内田 一喜(うちだ かずき)
︎・2010年 プロライセンス取得
・2011年 プロデビュー
・2024年よりボクシングクラブのトレーナーに従事
プロ戦績 11戦7勝(5KO)4敗/13年東日本新人王決勝進出
ボクシングは攻撃とディフェンスのみとシンプルだからこそ、パンチと防御だけで相手を攻撃するのは難しい。
これが「ボクシング」というスポーツの奥深さ・面白さだと思います。
今までの経験をもとに、ボクシングの魅力と奥深さをお伝えしていけるように全力でサポートして参ります。
【メリットたくさん】有酸素運動後のサウナに期待される効果
まずは、有酸素運動後にサウナに入るメリットを知っておきましょう。
ちなみに有酸素運動とは、長時間継続して行う運動のことです。
ウォーキングやジョギングをはじめ、ボクシングにおける筋トレ以外のメニュー(シャドー、ミット打ち、サンドバッグなど)も有酸素運動になります。
疲労回復
サウナがパフォーマンス向上につながるのは、疲労回復の効果が大きく影響していることが考えられます。
例えば、サウナの効果の一つに血流促進があります。
サウナに入ると体温が上昇し、血管が拡張します。
これにより血液の流れが改善され、筋肉に酸素や栄養素がより多く供給されることで疲れた筋肉の回復を促進できるのです。
また、サウナに入ることで、熱ストレスによる生理的適応反応が起こります。
これにより、身体は熱ストレスに対してより耐性を持つようになり、高い温度や湿度によるストレスに対してより早く適応できるようになります。
アンチエイジング効果
有酸素運動後にサウナに入ると、体内の「活性酸素」の濃度が減少します。
活性酸素は細胞の老化を促進する要素とされ、その減少はアンチエイジングに直結すると言えます。
この現象は、30分の有酸素運動後に10分間のサウナ入浴を3回行った実験で確認されています。
つまり、運動とサウナの組み合わせは、美容に対しても有益なのです。
基礎代謝の向上
サウナに入ると血液循環がよくなり、新陳代謝が高まります。
つまり太りにくく痩せやすい体質になると言われています。
さらに、基礎代謝が高くなれば免疫が高まり、病気への抵抗力が向上します。
サウナを利用する人は、利用しない人よりも風邪にかかる確率が50%低かったという実験結果も出ています。
参考文献
E Ernst 1, E Pecho, P Wirz, T Saradeth:Regular sauna bathing and the incidence of common colds
実際のパフォーマンスとサウナとの関係
サウナに入ることで血行が促進されて、筋肉内の血液循環が良くなります。
これにより副交感神経の働きが活発になり、反射力(反射神経)が向上すると考えられます。
また、筋力についても血行の改善により
これらの効果によって強度の高い運動も行えるようになり、パンチの質、パワー向上につながるのではないかと私は考えています。
基本的なサウナの入り方・手順
①水分補給
サウナでは、およそ400〜500mlの汗をかくと言われています。
脱水症状には十分注意して、かならずサウナ前に水分補給をしましょう。
②体・髪を洗いサウナへ
汗腺の汚れを落として、汗をかきやすい状態を作るため、サウナ前には体と髪を洗いましょう。
③10分程度入る
実際にサウナに入る時間は、5〜10分程度がおすすめです。
サウナ室は階段状になっていますが、1段あがると5℃温度があがるため、最初のうちは下段で5分程度にしておきましょう。
④シャワーで汗を流す
汗をかいたままでは衛生的に良くないため、必ずシャワーを浴びましょう。
⑤水風呂に浸かる
大体30秒から1分程度の時間で入るようにしましょう。
あまり長く入っていると体が冷えてしまい、逆効果になるため注意してください。
⑥外気浴をする
水風呂後は血流が良くなっているため、外気浴にて副交感神経を優位に働かせることができます。
副交感神経の働きを高めると体がリラックス状態となり、自律神経のバランスを整えることができます。
⑦水分補給をする
サウナで水分を消費していますので、最後に水分補給をしてください。
※1セット(③〜⑥)×2〜3セット繰り返す
【要確認】有酸素運動後のサウナで気をつけたいこと
サウナに入る時には、必ず以下の点を把握しておいてください。
①長時間の入浴は避ける
サウナに長時間入ると、脱水症状のリスクが高まります。
とくに運動後は、汗を多くかくので水分補給が不可欠です。
サウナ前後でしっかり水分を摂ることで、脱水症状を防げます。
短時間でも効果的なリカバリーが期待できますので、無理なく利用してください。
②食事と飲酒に注意
サウナ後は、体が栄養を吸収しやすくなっています。
そのため、高カロリーな食べ物や飲みものを摂ると、体重増加のリスクがあります。
また、アルコールは急激に酔いが回る可能性があるため、お酒を飲んでからサウナに入るのは避けましょう。
上記の点を守らないと、効果を得られないだけでなく逆効果になるおそれがあります。
体に大きな負担をかけてしまいかねませんので、十分注意しましょう。
まとめ
サウナを上手に活用すると、さまざまな効果やメリットを得られることが分かりましたね。
私も現役時代の減量中には、最後の体重調整で500gほどサウナで水抜きをしていました。
なかには、1日で2、3kg一気に落とす選手も。
ただし、水抜きは非常に難しく、筋肉や脂肪の量など普段の身体づくりも成功のキーとなる過酷な減量法なので、みなさんは絶対に真似しないでください。
ちなみに私は、週2回サウナに欠かさず通っています。
サウナに行く前は、ジムでウエイトトレーニングをみっちり行い、しっかり食事を摂って1〜2時間休んでからサウナに向かっています。
これから8月にかけて暑い夏がやってきますので、皆様サウナを上手に活用して暑い夏を乗り切り、健康で丈夫な体づくりに励んでいきましょう!