体を動かす際には何を飲むのが良い?水分補給のコツをボクシングトレーナーが解説

BOXING CLUBとは

人の体の多くは「水分」が占めています。
たとえ運動をしていない状態であっても、汗や呼気などによって体内の水分は徐々に失われていきます。
もし体を激しく動かすのであれば、より体内から水分が出て行くことは想像にかたくありません。

水分が失われると運動のパフォーマンスにも影響してくるため、スポーツ中は水分補給が欠かせません。

そこで本コラムでは「体を動かす際の水分補給」をテーマに、水分補給のコツを運動の専門家でもあるボクシングトレーナーが解説していきます。
ボクシングをはじめ日々運動をされている方は、ぜひ参考にしてみてください。

なおこちらのコラムは、BOXING CLUB永江良トレーナーに監修していただきました。

永江 良(ながえ まこと)

・2011年全日本ランキング
 ジュニア男子ピン級5位
・2012年全日本ランキング
 ジュニアライトフライ級9位
ボクシングは小学1年生から始め現在までずっと携わってます。
ボクシングはもちろん筋トレも得意分野になります。

水分補給の目的について

60%の水分でできている人間の身体。
普通に生活しているだけでも、1日におよそ2.5リットルの水分が失われていくと言われています。

大量に汗をかいて体内の水分が失われた場合、持久力や認知機能が低下したり、体液の浸透圧を保っているナトリウム、電解質が減少したりします。

そして、さらに体温の低下や脱水症状、熱中症へとつながり、命に関わってくるおそれもあります。

上記のような事態を防ぐべく、とくに運動中はこまめな水分補給が欠かせません。

【要チェック】運動中に摂取するべき飲み物は?

運動中に摂取する飲み物としては「水」「スポーツドリンク」「プロテイン」などをイメージされる方が多いかと思います。
同じ水分であっても、運動中の水分補給として適しているもの、適さないものがありますので、各々の特徴をきちんと知っておきましょう。

1.水

運動中、汗をかくことで体内のナトリウムや電解質が失われていきます。
しかし、一般的なミネラルウォーターではこれら成分を十分に補充できません。
したがって、激しい運動をする際の水分補給として、水はあまり適していないと言えるでしょう。

また、水を飲むことで体液が薄まり、余分な水分を排出しようとする働きが起こるため、脱水状態を進行させるおそれもあります。

※厚生労働省によると、熱中症対策の飲み物として「0.1〜0.2%の食塩水、または、ナトリウム40〜80mg/100mlのスポーツドリンク・経口補水液など」を摂取するのが望ましいとされています。

2.スポーツドリンク

一般的に「ポカリスエット」や「アクエリアス」がスポーツドリンクの代表例として挙げられるでしょう。

ポカリやアクエリアスは、安静時(身体を動かしていないとき)に効率よく水分補給ができるように作られています。
たくさん汗をかいている状態では、スポーツドリンクからは上手く水分を吸収することができません。
そのため、スポーツドリンクは運動中ではなく運動前に摂取することがおすすめです。

ただし、市販のスポーツドリンクは糖分が多いため、肥満症の原因となるかもしれません。
そのまま飲むのではなく、水で薄めるか、粉タイプのものを選んでいただくと良いでしょう。

スポーツドリンクの補足

スポーツドリンクも種類によっては、運動中の水分補給に適したものがあります。

  • 練習前はアイソトニック飲料→ポカリ、アクエリアスなど
  • 練習中はハイポトニック飲料→アクエリアスゼロ、VAAMウォーターなど

アイソトニック、ハイポトニックは飲料に含まれる「糖分濃度」に違いがあります。

アイソトニック飲料は、糖分濃度が高めです。
水分吸収効率がハイポトニックと比較してよくないため、運動中よりも安静時や発汗量が少ない時に飲むことが適しています。

一方、ハイポトニックは糖分濃度が低めの飲料です。
汗をたくさんかいた状態でも吸収が良いため、運動中の水分補給にハイポトニックは適しています。

3.プロテイン

プロテインは朝イチや練習前、練習後など、さまざまな摂り方があります。

朝イチ

睡眠をはさんで長時間栄養が体に入っていないため、寝起きのプロテインは血中のアミノ酸濃度を高める役割があります。
血中のアミノ酸濃度を高めることで、筋肉の合成を促進する効果を期待できます。

練習前

消化する時間が必要なため、プロテインは運動1時間前に飲むことがおすすめです。
運動前にプロテインを摂取することで、トレーニング中に血中のアミノ酸濃度が最大化します。

練習後

激しい運動をしたあとは、胃腸への血流量が低下するため、消化不良を起こす可能性があります。
※ウォーキングなど、軽い運動であれば大丈夫でしょう。

運動後にプロテインを摂取したい場合は、トレーニング後すぐではなく15分ほどあけて飲むようにしてください。
また、運動後はグルタミンを飲んで筋分解を防いでから、プロテインを飲むようにすると良いでしょう。

補足1:ホエイプロテインとソイプロテインの違い

プロテインは、おもに「ホエイプロテイン」と「ソイプロテイン」の2つの種類があります。

ホエイプロテインは、牛乳からできたプロテインです。
ラクトフェリン、システインといったタンパク質(アミノ酸)が入っているため、免疫力を高める効果を期待できます。

一方のソイプロテインは、大豆からできたプロテインです。
ホエイに比べてアルギニン(アミノ酸の一種)が豊富で、動脈硬化や高血圧などの改善に効果的と言われています。

また、ソイプロテインは女性にもおすすめです。
大豆に含まれる「イソフラボン」には、女性ホルモンに似た働きがあるためです。
女性ホルモンの分泌量が減少し、さまざまな不調が生じる更年期障害を改善する効果を期待できます。

補足2:プロテインを摂る際の注意点

タンパク質が消化される際、窒素が発生すると言われています。
窒素の影響で腸内の悪玉菌が増殖することにより、プロテインを飲んでお腹を壊す方がいらっしゃいます。
動物性のタンパク質(ホエイプロテイン)ほど腸内環境が悪化しやすくなっているため、お腹を壊しやすいという方はソイプロテインやWPIを飲むようにすると良いでしょう。

スポーツ飲料やプロテインを除く水分補給おすすめ飲料

上記で紹介したアイソトニック、ハイポトニック、プロテイン以外では、次のような水分補給(栄養補給)のやり方もおすすめです。

練習前

「アルギニン」や「シトルリン」をとると血行が促進し、栄養の運びがよくなると言われています。
また、アルギニン、シトルリンは各々で次のような効果を期待できます

  • アルギニン:成長ホルモン濃度を高める、血管を拡張して血管をしなやかにする
  • シトルリン:動脈硬化の緩和、冷え性・むくみの改善、記憶力・集中力のアップ

アルギニンはアルカリ性が強いため、シトルリンと一緒に飲むようにしてください。
※アルギニン、シトルリン含有のドリンクもありますが、一般的にはサプリメントから摂取します。

また、トレーニング前にはコーヒーもおすすめです。
カフェインによる集中力アップの効果をはじめ、45分前にコーヒーを飲むことで「体重×0.2mg」体脂肪が燃えやすくなると言われています。
もしコーヒーが苦手であれば、代わりにエナジードリンクカフェインをとるのでもOKです。

そのほか「BCAA」も運動前におすすめしたい飲料です。
BCAAとは、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類のアミノ酸が化合したもので、次のような体への作用を期待できます。

  • 筋タンパク合成の促進
  • 疲労回復
  • 筋出力の向上
  • 肝機能サポート

BCAAは、20分ほどで体に吸収されると言われています。 

練習中

練習中は「EAA」がおすすめです。

EAAは筋肉の合成シグナルを行うほか、筋肉の材料にもなるアミノ酸です。
人の体を構成しているアミノ酸は20種類ありますが、その中で体内で作れないものが9種類ほどあり「必須アミノ酸」と呼ばれています。

運動中にEAAを摂取することで、必須アミノ酸を含む血中アミノ酸濃度を高める効果を期待できます。

練習後

練習後には、トマトジュースを飲むと良いでしょう。
トマトに含まれるリコピンの効果で「筋疲労によるダメージの修復が早まった」という研究結果がでています。
さらに全身の炎症レベルも下がり、老化防止の効果も期待できると言われています。

まとめ

運動する際には、必ず水分補給をするように心がけてください。
普段飲んでいる水分、飲み物を少し意識するだけで、運動のパフォーマンス向上にもつなげられます。
こちらのコラムを読んで、ぜひ試してみてください。

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