みなさんは「当てないスパーリング」とも呼ばれている、マスボクシングをご存じでしょうか?
普段のトレーニングで行われる対戦相手にパンチを寸止めで打つ実戦練習ですが、それを競技とし、試合化したものがマスボクシング大会です。
大会の場合、試合形式で勝敗も決まるため「負けて悔しいからもっと上手くなりたい!」と考えている方もいるでしょう。
そこでこちらのコラムでは、マスボクシング大会で勝つためのトレーニング方法を、ボクシングの現役トレーナーが詳しく解説していきます。
とくに次に当てはまる方には、有益な内容になっていますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
なおこちらのコラムは、BOXING CLUB岡田哲也トレーナーに監修していただきました。
岡田哲也(おかだ てつや)
高校入学と同時にボクシングを始める
アマチュア50戦
インターハイ&国体 愛知県代表
プロ12戦
マスボクシングとは?
マスボクシングとは、寸止めのパンチで得点を競い合う実戦形式の練習のことです。
普段のボクシングは、シャドーやミット打ち、サンドバッグなど、一人もしくは対トレーナーで練習を行うことが多いかと思います。
一方マスボクシングは、対戦相手がいるため緊張感のある試合さながらの実戦練習を実施できます。
また、スパーリングのようにパンチが当たってケガをする心配がないため、
ボクシングの試合を「安全にリアルに」楽しめることが、マスボクシングの大きな特徴です。
実戦形式なので単純に「楽しい」のはもちろんのこと、対戦を通じて普段の練習だけでは得がたい「技術の向上」につなげることも可能です。
BOXING CLUBでは、関西と関東それぞれで年に2回のマス大会を開催しています。
大会は、マスボクシングを競技として勝敗をつけるかたちで行い、朝の9時から20時過ぎまでと長時間におよびますが、先日開催したマス大会も大盛り上がりでした。
BOXING CLUBで実施しているマス大会の詳細については、ぜひこちらの記事も読んでみてください。
マスボクシングの概要が分かったところで、このあと「どうすればマスボクシング大会で勝てるようになれるのか!」トレーニング方法のアドバイスをしていきたいと思います。
マスボクシングで必要なフットワークを養うトレーニング方法
それでは、まずボクシングに欠かせない動き「フットワーク」の上達が目指せるトレーニングを解説していきます。
フットワークを養うことで攻撃、防御の面、そして何よりマスボクシングにおいて一番大事な相手と間合いを作ることができるようになります。
反復横跳び(3分間)
反復横跳びは、ボクシングの前後・左右のフットワークに近い動きをします。
これを3分間行うことで、試合で素早く動く相手に対しても常に間合いを取り続ける、フットワークを使いやすくなります。
やり方は、リングが空いていればリング上で、リング中央を中心として両サイドのリングロープをタッチするかたちで行ってください。
時間は、ジムのタイマーに合わせて3分間で実施しましょう。
スクワットジャンプ
スクワットジャンプは、瞬間的な足腰のバネを最大出力で使うため、マスボクシングにおける、素早いステップインやバックステップができる足腰作りが可能です。イレギュラーな対戦相手の動きに合わせて、瞬時に有利な位置取りをしやすくなります。
スクワットジャンプで意識する点は、とにかく「真上に高く」なるべく「最大出力」でジャンプすることです。
着地の際は膝を柔らかく使い、着地の衝撃をなるべく吸収するようにしてください。
マスボクシングで相手との間合いをとるためのトレーニング方法
次に、相手との間合いをとるためのトレーニング方法をみていきましょう。
間合いがうまく取れるようになると、相手選手に有効なパンチが入りやすくなります。
各々の練習で意識する点やメリットを解説していきます。
シャドーボクシング
シャドーボクシングを行う際は「パンチをしっかり伸ばす」ことを重点的に意識しましょう。
パンチをしっかり伸ばすクセをつけたシャドーをすることで、マスボクシングにおける距離感が養われます。
その距離間をキープすることは勝つために大事な要素の一つです。
※普段のシャドーで腕を伸ばしていないため、実戦の距離感を把握できていない方は多いです。
シャドーボクシングで、さらにもう一つ意識していただきたいことがあります。
「リアルに具体的に対戦相手のイメージを持ち、イメージの中の距離感を養う」ことです。
具体的に対戦相手をイメージしやすいように、動画やYouTubeなどで試合やマスボクシングの映像をチェックするのもおすすめです。
そのうえでシャドーを行うと、より実戦に近いシャドーができるようになるでしょう。
ただ、いきなりスピードを出した動きをすると、対戦相手のイメージが難しくなります。
最初はイメージ重視でゆっくりとシャドーを行い、慣れてきたら徐々にスピードを上げるようにしてください。
サンドバッグの寸止め打ち
頭の中のイメージだけではなく、実在するサンドバッグを実際に寸止めで打つことで、「どこまでの距離なら当たらないのか」のリアルな距離感を確認できます。
サンドバッグの寸止め打ちで一番重要なポイントは「パンチを最大限伸ばして打つこと」です。
その中でもとくに重要なのは「ジャブを目一杯伸ばして打って寸止めをすること」になります。
ジャブをしっかり伸ばすことで、寸止めの距離感を養えます。
逆にジャブが伸びていないと、その他のパンチは全て距離が狂ってしまいます。
ジャブを使った正しい距離感を身につけないと、マスで勝利することは難しいです。
パンチングボール(ダブルエンドボール)
パンチングボールを打つことでも、マスボクシングにおける距離感を養えます。
サンドバッグと比べてパンチングボールのほうが素早く動きますので、そこを狙うことによって距離感とともにパンチの「コントロールの精度」も高められます。
マスボクシングで戦うイメージを作るためのオススメ動画
BOXING CLUBのマス大会の動画を見ていただくのがオススメです!
そこに、勝つための答えが全て出ています。
特に最強トーナメントは必見です!
マスボクシングでポイントを取りやすいパンチの打ち方
マスボクシングでは、ポイントを取りやすいパンチの打ち方があります。
それを養うためには、シャドーボクシングで次の点を意識してください。
ポイント取得を意識したシャドーボクシング
寸止めルールにおけるマスボクシングの場合、パンチを打ったあとの「引き手」をアピールすることが重要です。
パンチを打ち出すだけになってしまう会員さんが多いため「パンチを打ち終わったあとに腕を元の位置に素早く引く」動作を反復練習してください。
あえてオーバー気味に腕を引くようにすると、引き手が癖付きやすいです。
引き手は、ジャッジの印象に残りやすい動作のため、有効に使うことでポイントを取りやすくなります。
この方法は、実際にプロやアマのトップ選手も使う手法となります。
マスボクシングで本来のパフォーマンスを作るためのメンタルの作り方
マスボクシングは、相手選手がいることに加えて勝敗も決まりますので、どうしても緊張してしまうものです。
そんな緊張感のある中で、いつも通りのパフォーマンスを発揮するためには、普段から「メンタル面」を強化しておくことが大事になります。
どのようにしてメンタルを鍛えたら良いのか、次のような方法がおすすめです。
自分のマスボクシングの動画をスマホなどで撮影し、繰り返し見る!
マスボクシングのイメージを忘れないよう、自分の動きを繰り返し動画で見るようにしましょう。
自分のパフォーマンスの全体像を客観的に見ることで、より自分自身の動きやマスの情景をイメージしやすくなります。
普段からイメージトレーニングを繰り返していると、実際の試合でもメンタル的に落ち着くことができるようになります。
リング上で落ち着くことは、勝利のための重要なポイントです。
実際にマス大会やプロやアマチュアの試合をYouTubeなどの動画で見る!
自分のパフォーマンスに限らず、他の方の試合を見るのもおすすめです。
リアルな実戦をイメージしやすくなるため、緊張する場面でも落ち着いてマスボクシングをできるようになります。
BOXING CLUBのマス大会もアーカイブで動画を残していますので、ぜひご覧になり参考にしてみてください。
リングの上でシャドーボクシングを行う!
リングの上は非日常的な空間です。
慣れていない状態でリングに上がると極度に緊張してしまい、マスボクシングで本来の実力を発揮できないというケースはよくあります。
そうならないよう、練習時にリングが空いているときは積極的にリングの上でシャドーボクシングを行うことがおすすめです。
普段からリング上の雰囲気に慣れておくと、マスボクシングでもいつも通りのパフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、マスボクシング大会で勝つためのトレーニング方法を解説しました。
試合形式のマスボクシングを行うことで、ボクシングをより楽しく、長く続けられるようになる方は多いです。
「運動不足が解消できれば良いから」「怖いから試合には参加する気はない」といった方も、ぜひマスボクシング大会に挑戦していただければなと思っています。
また、こちらのコラムを読んで「私もボクシングをちょっと始めてみたい」と思われた方は、体験もできますので、ぜひBOXING CLUBにお気軽にご連絡ください。