上記のようなお悩みやご要望にお答えすべく、こちらのコラムでは、ボクシングの試合を観る際に必要な知識やポイントを詳しく解説していきます。
特にボクシング観戦に慣れていない初心者の方は、ぜひ最後まで内容を確認してみてください。
なおこちらのコラムは、BOXING CLUB 田村 友宏トレーナーに監修していただきました。
田村友宏(たむら ともひろ)
・25歳からボクシングを始める。
・イマオカボクシングジム(現BOXING CLUB)にて、現役を続けながらトレーナーとして勤務。27歳からプロデビュー。
・練習生時代に、何人ものトレーナーに指導していただいたので教え方の幅も広がり、会員様に対して伝わりやすい指導を心がけております。
・パンチを受けるのが怖い!という方でも、怖がらずに出来るディフェンスをお伝え致します。
もちろん上級者の方でもディフェンスに迷っていたら、ご相談ください。
【ボクシングの試合】勝ち負けはどう決まる?
ボクシングの試合は「KO(ノックアウト)」「TKO(テクニカルノックアウト)」「判定」の3つの勝敗の決まり方があります。
各々の特徴について、こちらでみていきましょう。
KO『ノックアウト』
パンチを受けてダウンした後、10カウント以内に立ち上がれなかった場合KO負けとなります。(正確には立ち上がり、ファイティングポーズ【構え】をとらないといけません)
素人の方でも分かりやすく、観ていて一番楽しいのはKO決着になるのではないでしょうか。
「マイク・タイソンのように腕力で圧倒してKOする」
「井上尚弥のようにフェイントやカウンターを駆使して、テクニックをうまく使って的確にダメージを与えて倒す」
など、どのように相手を追い詰めKOするのかも、ボクシングの見所になると思います。
TKO『テクニカルノックアウト』
一方的に打たれたり、何度もダウンをしたりしてダメージが大きく、レフェリーに試合続行が不可能と判断された場合はTKO負けとなります。
※補足:ラウンド内で3回ダウンしたらTKO負けというルールがあります。
しかし、試合によっては、フリーノックダウン(何回倒れてもTKO負けにならないルール)もあります。
判定
KOやTKOでは決着がつかないまま全てのラウンドが終了した場合、判定決着となります。
点数が多いボクサーの勝利です。
裁定基準は、以下の通りです。
各ラウンドで優劣をつけ、優位な方に10点、劣勢な方に9点など点数をつけます。
もしダウンさせられた場合は、そのラウンドは8点となってしまいます。
→たとえダウンしてしまっても減点になるだけなので、他のラウンドで巻き返すことは可能です。
ダウンしたからといって、必ずしも負けになるとは限りません。
KOで倒すことよりも、各ラウンドで着実にポイントを取っていき勝利を目指す戦略もあります。
その場合、試合でディフェンス・カウンター・フェイント(目線)などのテクニックが多く使用されますが、派手さがないため素人の方にはラウンドが長いと飽きがくるかもしれません。
試合によっては高等技術のオンパレードとなるため、目が肥えた方にとっては面白いものとなるでしょう。
試合中の反則行為について
ボクシングの試合では、以下のような攻撃は禁止されています。
ちなみにマニアックなルールとなりますが、試合中に喋るのも反則です。
もし反則行為を故意に繰り返した場合は、判定における点数が不利になったり、その場で反則負けが決まったりすることもあります。
ボクシングでは体のどこを狙ってパンチを打つ?
基本的には、頭部にダメージを与えることで相手選手を弱体化させていき、結果倒すことを狙います。
また、頭部以外では「お腹(ボディー)」を攻撃することで、相手の足の機能を奪ったり、呼吸しにくくさせたりもできます。
ボディーへのダメージを蓄積させると、最終的にKOやTKOとして勝ちにつなげることが可能です。
しかし、筋力トレーニングや腹打ち練習(お腹を殴ってもらうトレーニング)で耐久力を上げられるため、頭部と比べるとボディーによるKOは狙いにくくなっています。
とはいえ、パンチでボディーに力が入らない状態を作ると、KOに持っていける可能性は高くなります。
ボクシングの試合で着目したいテクニック
相手選手にパンチを当ててKOや判定勝ちにつなげるために、各ボクサーはどのような技術を駆使しているのでしょうか?
また、パンチを避けるためには、攻撃だけではなくディフェンスも重要です。
こちらでは攻撃、防御の面から基本的なテクニックをご紹介していきます。
コンビネーションパンチ
「コンビネーションパンチ」は、相手のガードを開けさせるテクニックです。
ジャブやストレート、フック、アッパーなど複数のパンチを連続で繰り出すことをコンビネーションパンチと呼びます。
例えば左ジャブを打ったあと、素早く右ストレートを打ち込む「ワンツー」は、試合でよく使われるコンビネーションパンチの一つです。
もし頭を狙いたければ、まずボディーを狙いガードを下げさせます。
逆にボディーを狙いたければ、頭を打ってガードが上がった所にボディーを打ちます。
また、上下だけでなく、内側・外側も同じようになります。(相手の顔正面を狙いたければ、側頭部を狙いガードが開いたところへ正面に打つなど)
ディフェンス
ディフェンス(防御)については、ブロッキング、パーリング、ウィービング、ダッキングといった基本動作が挙げられます。
ブロッキング
手、腕、肩を使って自分の頭部や顎を包み込み、相手のパンチを防ぐ方法です。
フェイントなどに引っかかりにくいため、相手のパンチを防ぎやすいというメリットがあります。
しかし、衝撃を全て吸収しきれない場合、ガードの上からでもパンチが効いてしまうことがブロッキングのデメリットとして挙げられます。
パーリング
ジャブやストレートなど直線的な軌道のパンチに対して、手首あたりを狙って払って軌道をそらせるディフェンスです。
軌道をそらし、相手のバランスを崩すことで反撃のチャンスが作り出せることが、パーリングのメリットとして挙げられます。
しかし、フェイントで払うタイミングをずらされると、反対にパンチをもらってしまうというデメリットもあります。
ウィービング
頭でUの字を描くように動かし、相手のパンチを避けるディフェンスになります。
特に側頭部を狙ってくるパンチに対して有効です。
ダッキング
膝をクッションのようにして、身体を股関節あたりからやや前傾に倒して相手のパンチを避けるディフェンス方法になります。
ジャブやストレートなど真っ直ぐなパンチに対して有効です。
3つのボクサーのタイプ
攻撃や防御の方法、勝ちの狙い方などによって、ボクサーは「ファイター」「アウトボクサー」「ボクサーファイター」の3つのタイプに分けることができます。
各ボクサーがどのタイプに当てはまるのか、気にしながら試合を観てみるのも面白いのではないでしょうか。
ファイター
相手のパンチをかいくぐり、ガードを固めたまま懐に入ることで、近距離で打ち合うタイプになります。
KOを狙う戦術パターンが多いため、パワーの強い選手にファイタータイプは多い傾向があります。
※補足:あまり器用なタイプではなく、パワーがなくても多少打たれ強ければこの戦い方を選ぶ選手もいます。
アウトボクサー
足とリーチをうまく使い、相手との距離を取りながら戦うタイプです。
早いステップワークやパンチをもらわないような動きが求められるため、身体能力の高い選手にアウトボクサーは多くなっています。
※補足:パンチに対する耐久力がないためこの戦い方を選ぶ選手もいます。
ボクサーファイター
ファイターとアウトボクサーの中間で、その時々の場面に応じて打ち合ったり、足を使ったりと臨機応変に戦い方を変えるタイプになります。
今現在、世界のトップクラスの選手はボクサーファイタータイプが多いです。
あらゆる状況に応じて対応できる能力が高くないと、チャンピオンになったとしても防衛し続けられません。
※参考:それぞれボクサーのタイプがありますが、強い選手が必ず勝つとは限りません。
選手同士の相性が良い、悪いも関係してくるのがボクシングの試合の面白いところです。
ボクシングおすすめの試合と楽しみ方
ボクシング観戦において、取り掛かりとしてどのような試合を観ると良いのか、田村トレーナーからは以下のようなアドバイスをいただきました。
名勝負と言われている試合を観てみる
例えばお互い何度もダウンを取り合う試合は、経験者でなくても気持ちが盛り上がります!
例:高橋ナオト対マーク堀越
因縁の対決を観る
1度だけでなく同じ相手と2回、3回と戦っている試合もあります。
ライバルのような関係だったり、前回の試合の内容に満足していないため同じ相手を選んだりとシチュエーションはさまざまです。
例:マニー・パッキャオ対ファン・マヌエル・マルケス(4回戦ってパッキャオの2勝1敗1引分け)
デビューしたばかりの人を応援する
デビュー戦の選手の試合を観ると、テレビで放送されているような高いレベルではなく、『頑張って戦っている』様子がとても分かるので親近感が湧きやすいです。
贔屓の選手が、試合を積み重ねるたびに強くなっていく姿を応援していくのも、試合を観る醍醐味です。
試合の中で披露されるテクニックを楽しんだり、選手の成長を楽しんだりとありますが、初心者レベルの方はやはり、打ち合ってKO決着の試合が面白いと感じると思います。
実際にボクシングをやってみるのも一つの手!
よりボクシングの試合に慣れ親しんでいただくためには、チャンピオンの試合に限らず、生で観戦してみるのがおすすめです。
また、実際ご自身でボクシングをやってみたら、より試合の見所がつかみやすいかもしれません。
ボクシングクラブでは、実際にミット打ちやサンドバッグができる1日無料体験を毎日実施しております。
「試合を観るだけでなく、実際に自分もボクシングをやってみたい」とお考えの方は、ぜひ一度ボクシングクラブにご連絡ください。
画像出典:ボクシングモバイル