【ボクシング】アマチュアとプロではどう違う?ルールや練習内容の違いをトレーナーが解説

BOXING CLUBとは

井上尚弥選手をはじめとしたプロボクサーの試合はもちろん、最近ではオリンピックでアマチュアの試合をテレビでみかけた方もいるのではないでしょうか?

同じボクシングという競技ではありますが、アマチュアとプロで何が違うのかはあまり知られていないかもしれません。

そこで本コラムでは、試合形式やルールなど、ボクシングにおけるアマとプロの違いを分かりやすく解説しています。

また、練習内容も少し変わっていきますので、現在ボクシングをされている方はもちろん、これからボクシングを始めようと思っている方もぜひ参考にしてみてください。

なおこちらのコラムは、BOXING CLUB稲嶺光紀トレーナーに監修していただきました。

稲嶺 光紀(いなみね ひろき)

︎・ボクシング歴
高校からボクシングを始め、東洋大学へ進学。卒業後、ワタナベジムでプロデビュー。
・戦績
アマチュア 41戦27勝14敗
プロ 3戦2勝1敗
ボクシングを通じて皆様の心身の健康を良くし、毎日を健やかに送れるような指導を心掛けております。

アマチュアとプロの大まかな違い

まずは、アマとプロの大まかな違いについて紹介していきます。

アマチュア

アマチュアのラウンド数は国内大会からオリンピックまで、シニア男女ともに3分3ラウンド (高校生、中学生は2分3ラウンド、小学生は1分半3ラウンド)で行われます。 

アマでは、的確なパンチやディフェンス、有利な試合運びが主な採点基準となっています。
ただし判定が難しい場合には、双方のダメージ、攻撃性、ディフェンス技術がどちらの方が優れていたかを判断材料にしています。

使用する道具については、男子シニア(18〜40歳)の試合ではヘッドギアを着用しませんが、ジュニア、女子は着用が義務付けられています。

そしてグローブの重さにも違いがあります。
アマでは基本的に10オンスと定められていますが、高校生の部に限り、ウェルター級からスーパーヘビー級は12オンスと定められています。
なお、女子の場合は年齢に関わらず10オンスとしており、ウェルター級からヘビー級に限り12オンスとなっています。

また、アマの試合ではトーナメント形式が多く、連日での試合や、大学リーグ戦でも間を空けて2週間ごとのペースで約3ヶ月に渡って試合をすることがあります。
年間に開催される大会は各都道府県で違いがありますが、平均して4大会は行われているかと思います。

プロ

プロもアマと同じ「10ポイントマストシステム」という1ラウンド10点減点方式を採用しています。
各ラウンドで優劣をつけ、優位なほうに10点、劣勢なほうに9点といった点数をつけます。
もしダウンをしてしまった場合、そのラウンドは8点です。

KOやTKOなどで決着がつかず、判定決着となった際には、各ラウンドのポイントを合計して点数が高い選手の勝利となります。
これが10ポイントマストシステムです。

しかし、採点方法が同じでも基準が少し異なり「アマではいかに有効打を当てたか」に対しプロでは「いかに相手に効果的なダメージを与えたか」に重点が置かれています。

そして皆さんご存知の通り、プロではヘッドギアを着用しません。
グローブは、ミニマム級からスーパーライト級までは8オンス、ウェルター級からヘビー級までを10オンスとしています。

女子ではアトム級からフェザー級を8オンス、スーパーフェザー級以上から10オンスとなっています。

また、プロの試合間隔については、試合終了後最低2週間(アマでは12時間)を経過しなければ次の試合には出場できません。

なおKO、TKOされた場合は、90日間を経過しなければなりません。
そして連続4回負け、及び連続3回KO、TKOをされた場合は、120日間経過しなければ次の試合に出場することができません。

アマとプロでは「ルール」のここが違う!

アマでは1試合3ラウンド制です。
一方のプロは最低4ラウンドで、ライセンスのランクが上がるにつれ 6、8、10、12と戦えるラウンド数が増えていきます。 

勝敗判定では、有効打でダウンをして10秒以内に競技を続けることができない「ノックアウト (KO)」はプロ、アマ共通です。
しかし力量の差が大きく、試合の続行が難しい場合における、レフリーの裁量により試合を止める「レフリー・ストップ・コンテスト(RSC)」では、プロ、アマの特色が顕著に表れています。 

たとえば技術面を重視するアマの場合、ダメージは少なくても素早く綺麗なタイミングでパンチを貰った場合はダウンと判断されます。
対するプロでは、いかに綺麗なパンチを当てようと相手にダメージがない限りダウンにはなりません。
このような違いから、RSCの場合でもレフェリーの判断に違いが出てくるわけです。

また採点方法では、前述したとおりどちらも同じ方法で行われますが、その基準は大きく異なります。

たとえば一つの有効打でダウンを奪った場合、プロではポイントを取り返すことが難しくなっていますが、アマでは有効打の一つとしてみられるに過ぎません。

そのため、アマではダウンを奪われた側がそのラウンド全般に有効打を多く当てていた場合には、盛り返すことが十分可能となるわけです。

アマとプロの練習内容の違い

アマは短時間内にパンチを当てる技術を競い合うため、反射的に体を動かし、瞬時に判断をする練習が必要になります。

対するプロでは、長丁場のため試合の展開に合わせた戦略的な戦いが重要になります。
陸上競技の「短距離走(アマ)」と「長距離走(プロ)」の違いと考えてみるのも良いかもしれません。

それでは、これらの要素を踏まえた上で代表的な練習内容を見ていきましょう。

シャドー

シャドーの違いは選手個人の考えであるため、一概にプロ、アマの違いとは言えないでしょう。
ただ、1ラウンドごとのペースはアマの方が早い選手が多いと思います。

ミット、サンドバック

プロは相手にダメージを与えることが前提にあるため、必然的に強いパンチを練習する人が多くなります。
一方で、アマではスピード、手数、的確性が重視されているので、速くてリズムが細かいパンチを意識してのサンドバックやミット打ちになりがちです。

ロードワーク

画像出典:ボクシングモバイル

プロ、アマ問わず、自身の理想とするボクシングに沿った走り方をしています。

たとえば、ラウンド内でのペースの緩急の幅を広げ、それを継続するための持久力が欲しい場合にはインターバルダッシュを取り入れたりと、各々で必要なロードワークをしています。

ただ、アマでは部活やチームでの練習になりますので、全員で同じ内容のロードワークをする印象があります。

アマとプロの違いに関してよくある質問

Q
アマチュアとプロで報酬はどう違うのでしょうか?
A

アマチュアはプロと違い、基本的にファイトマネーは支払われません。
ただし、JABFの承認を得た活動での対価は、30%控除された残額が支払われることになっています。
「アマチュア規則細則 第4条、第6条参照」

Q
アマチュアとプロで試合の準備やリカバリーの方法に違いはありますか?
A

アマチュアの場合は試合当日に計量後、約3〜5時間を空けての試合がほとんどです。
また、勝てば翌日も試合ですので、そのことも含めてのリカバリーとなっています。

一方プロの場合は、前日に計量をします。
そして次の試合まで日数を空けるので、リカバリーは時間をかけて行えます。
そのため、体重の回復の幅はアマは少なく、プロでは大幅に戻す選手が多い印象です。

Q
アマチュアとプロで競技に対するモチベーションはどう違いますか?
A

プロは生活もかかっていますし、ファイトマネーがモチベーションになることは当然だと思います。

ただ、他のスポーツと同様に「自分も強くなって強い選手に勝ちたい」「自分の名前を残したい」など、アマでもプロでも共通するモチベーションがあるように感じます。

Q
試合中のセコンドの役割やコーチングの方法は、アマチュアとプロでどのように違いますか?
A

アマではバッティングやパンチでの出血が酷い場合には、そこでTKO負けとなってしまいます。
ですので、プロのセコンドのような止血技術は試合中には必要ありません。

また、アマでは速い試合展開に対応するためのアドバイス、プロではラウンド数に応じての戦略的な指示が必要になってきます。

まとめ

プロとアマの違いはいかがだったでしょうか。
もちろんどちらのほうが強いというわけではなく、 事実アマ経験者でプロで優秀な成績を残している選手も多く、プロから叩き上げてチャンピオンになる方も少なくありません。

ぜひアマ、プロの試合を観戦される際は、本コラムで紹介した違いを意識してみることをおすすめします。

BOXING CLUBでは、無料体験を毎日実施しています。
他にも何か気になることがありましたら、お電話で構いませんので、お気軽にお問合せください。

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